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次の日俺はなかなか起きられず、学校には四時間目から登校することになった。また昇降口で待ち構えでもしてやしないかと思ったが、結局六時間目の数学が終わるまで香坂とは会わずじまいだった。
いつにも増して口数の少ない俺を気遣って辻が色々と話しかけてきたが、今はその顔を見ることすらつらかった。ほとんどを机に伏せて過ごし、帰りのホームルームではじめて香坂から声をかけられた。
「ということで、明日までに進路希望調査出すように。それじゃ解散。……の前に、鷹羽」
前を向いて香坂の話を聞いていた視線がいくつかこちらに向けられる。俺は顔をあげなかった。
「ホームルーム終わったら国語科の職員室来て。出席日数のことで話があるから」
口実だと思った。でも逃げるつもりもなかった。雅は何も説明をしてくれなかった。行為が終わると、もう一度「ごめん」と言い残して、俺を学校に送り届けた。
香坂の口から何かを聞けるかもしれないと思った。
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