第三話

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お風呂から上がり、そろそろ寝ようかと根津は直していた布団を引っ張り出す。 「僕はここで寝るから、君は僕のベッドで寝てね」 「……?」 客人として当たり前のもてなしだと思っていたが、青年は不思議そうに首を傾げる。 根津も同じように首を傾げる。 「どうしたの?」 「……エッチ、しないの?」 「は?」 エッチってどういう意味だとまたもや混乱する根津。 落ち着こうと、まずは青年の話を聞くことにした。 根津は、根本から思い違いをしていた。 青年は、家出青年などではなかった。 青年はヒモで、恋人の家で家事をしたりセックスをしたりして日々を過ごしていた。 が、今日の朝、些細なことから酷い喧嘩になり、青年は恋人の家から追い出されてしまったのだ。 雨の中、どうしようかと途方に暮れていたとこに、根津がやって来た、と言うことだ。 そして、青年も根津の言動に勘違いをしていた。 まず、一日だけならいい、と言われ、青年は一日様子を見て、相性がよかったらここに住んでもいい、と言う意味だと思っていた。 だから、気に入られるように料理をしようとしていた。 それなのに、何故か料理をさせないから、つまりセックスの方がメインなのか、と思い込み、料理を食べたらするもんだと思っていたらお風呂に入るし、出てきたら別々で寝ようと言い出すしでこれはおかしい!と青年は思ったのだ。 根津はこの青年がヒモだったことに驚愕した。 そして、家出してきたと思っていたから止めるのを許したのに、ヒモだったなんてどうしよう、と困惑した。 「勘違いでもいい、エッチしよ」 「ええっ!?いや、あの」 「オレ、アンタのこと、好みだからシたい」 敷いた布団の上で会話していた二人の距離はジリジリと縮まる。 青年が根津に近付く度に、根津は冷や汗をたらたらと流す。 「で、でも僕、女の人が好きだからさ、」 「一回ヤったらきっと嵌まる」 「は、嵌まりたくないかな」 至近距離まできた青年の顔を直視出来ずに顔を逸らそうとしたが、それよりも早く青年が根津の口にキスをした。
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