最終話

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カーテンから漏れだす光で目が覚める。 身体全体が思い感じがして、根津は首を傾げる。 昨日は、一体何をしたっけ……? ズキッと襲い掛かった腰の痛みとお尻への違和感で、スッと昨日のことを思い出した。 と、同時に忘れたくなった。 男同士なんて初めてだったのに、女のような声を出し、よがってたなんて思い出したくない。 ましてや、予想以上に気持ちよかったなんて。 頭を抱えて忘れろー忘れろーと念じていると、ふと、いい匂いが鼻をくすぐった。 食欲をそそる匂いにリビングの方へと向かう。 そこには、昨日の根津が作った料理よりも美味しそうな料理が並んでいた。 「おはよう」 「……おはよう。これ…君が作ったの?」 コクリと頷く青年。 悔しくも、自分よりも美味しそうな料理を作る青年を驚いた表情で見ていた。 そういえば、ヒモだと昨日言っていたか。 同じように毎日作っていても見た目がこうも違うのは、才能故なのか。 根津には分からなかったので、ひとまず考えるのをやめた。 「気持ち良さそうに寝てたから、起こすのも悪いと思ってベッドに連れてった。あと、起きるまでにご飯作っておこうって思って」 さりげない気遣いに、ちょっと胸が高鳴った根津だったが気付かない振りをした。 ありがとう、早速食べようか、と青年の向かい側に座る。 昨日の夕方と同じく、二人は朝食を食べ始めた。 ……が、二人の間に会話はなく、気まずい雰囲気が流れる。 根津は、何か話そうかと青年の顔を伺うと、どうしても昨夜のことを思い出してしまい、首を振る。 青年は根津の行動を不思議に思いながらも、朝食を食べ続けていた。 そうして、無言のまま、朝食を食べ終わり、今度は根津が洗い物をする。 青年が付けたのだろう、テレビの音がするからか、今は気まずくない。 が、どうしてか、昨夜のことが頭を過って仕方がない。 忘れようとする度にあの熱を思い出してしまう。 何とか洗い物を終わらせ、テレビの方を向くと、そこに青年はいなかった。 どこにいったのかと家中を探したが、青年はどこにも居なかった。 その代わり、青年が書いたらしい置き手紙が残されていた。
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