第三話

2/4
前へ
/16ページ
次へ
さて、話も一段落着いたし、お風呂の湯加減でも見てこようかと席を立つ。 青年にそこで待っててね、と声を掛け、風呂場へと向かう。 湯加減を見ると、ちょうどいい具合だった。 そういえばあの子も僕も濡れたままだった、と今の現状を思い出す。 先に青年に入ってもらおうとリビングへと戻ると、そこに青年の姿は無かった。 どこへ行ったのかと思っていると、台所の方から物音が聞こえ、そちらを見る。 そこには、料理を作ろうとしているのか、冷蔵庫の中を物色する青年の姿があった。 根津は慌てて青年を止めた。 「何で止める?」 「いやいや、仮にも君お客さんでしょ!?料理は僕が作るから!!」 止められて不機嫌そうにする青年に根津は声を荒げる。 一日だけとは言え、客人は客人だ。 料理を作らせるなんてこと出来るわけがない。 根津の言葉に青年は首を傾げたものの、すぐに頷いた。 根津は、僕が料理を作っている間にお風呂に入ってきて、と新品の下着と着替えを青年に渡す。 服は、根津がこの間間違えて買った大きめの物だ。 根津の服のサイズは、青年には入らない。 青年は着替えを受けとると、トテトテと教えられた風呂場へと向かって歩いていった。 青年がお風呂から出ると、机の上に料理が並んでいた。 どれもホカホカと湯気が立ち上っていてとても美味しそうだ。 根津は青年が出てくるのを待っていたようで、青年を見ると、炊飯器からお米をよそいだ。 青年は先ほどと同じように、根津の向かい側に座る。 どちらからともなく、手を合わせ、二人は料理を食べ始めた。 料理を食べ終わり、食器を洗い終わった根津は、青年がテレビではなくこちらを見ているのに気が付く。 何かようだろうかと首を傾げるが、向こうも同じように傾げるだけ。 よく分からないが、早くお風呂に入りたかったので、青年に一言告げ、根津は風呂場へ向かった。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加