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子鹿の恋は前途多難?
可愛いクラスメイトの女の子よりも、校庭で大声をあげて走り回る男友達にドキドキすることに気付いたのはいつのころだっただろうか……。
物心がついたときから気になって目で追ってしまうのは同性ばかりだった。
女の子から薫る甘い香りよりも男の汗の匂いの方が魅力を感じるとか、背伸びして色付きのリップを纏った柔らかそうな口唇にキスをする想像よりも、額から一筋流れ落ちる汗や節ばった手に抱き締められる想像に躰の芯が熱くなるとか。思春期にありがちな、男友達との下ネタ話に何食わぬ顔で参加しつつも、感じるのは違和感ばかりで。
こっそりと友達の持ってきたエロ本をみんなで見て盛り上がったときに、露わな女の裸体よりもそこに絡みつく男の筋肉に包まれた厚い胸や太い腕にばかり目がいくことに気付いた瞬間も、俄かには信じられなくて……。
いつまで経ってもそんな自分を受け入れられずに、好意を告げられた女の子と付き合ってみたけれど、キスをしても寝てみても違和感は大きくなるばかりだった。
――チガウ……コレジャナイ……。
想いの温度差は知らず伝わってしまうもので、付き合っては振られることを繰り返すうちに、もう女の子と付き合うことは無理だなと思えてきて。認められなくて目を背けていた違和感の正体と対峙することを決意した。
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