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あのマジックミラーの向こう。
僕を猟奇的な犯人に仕立て上げ
身に覚えもない容疑で訊問し
時に屈辱的なショータイムを加えて。
己は姿を現すことすらせずに
戯れてらっしゃるおつもりか――。
「そもそも薄井を殺そうとする動機なんて僕にはありません」
「なにが言いたい?」
新たなゴム手袋をはめ直し
指にたっぷり媚薬クリームを擦り込んだ刑事は
この期に及んで突然反論を始めた僕に目を丸くした。
「わざわざ手を下さなくたって、いずれ破滅するんだから」
ぺったりとデスクに頭を押し付けたまま
僕はミラー越しのあの人に向かって微笑みかけてやる。
「それも遠くない未来」
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