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男はまるで自分の身に起こったことのように
そこで体を震わせて
「そいつを奴さんの体内に――つまり後ろ穴に捩じ込んだって話さ」
軽蔑と畏怖を孕んだ複雑な顔つきで
溜息を吐いて頭を振った。
「刑事さん――」
舌先で赤い唇を湿らせてから
ようやく僕は口を開いた。
「それで彼――生きてるって?」
シャツの襟がくたびれてきた。
当然と言えば当然だ。
捕らわれて3日目の夜だった。
「ああ。生物学的な意味で言えば――まだ生きてると言っていい。けどなあ」
男は同情するように言うと
手錠を掛けられた僕の手をサラリと撫でた。
「綺麗な薔薇には棘があるって言うがとんでもない棘だな――おたくのは」
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