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「それでは、いよいよ、<反則級の美少女コンテスト・フェイス部門>の優勝者の発表です!」
司会者がこう告げると、音楽隊が太鼓を打ち鳴らし、場を盛り上げた。
観客もステージ上の美少女たちを見つめる。
「反則級の美少女コンテスト・フェイス部門の優勝者は、女優でアイドルのシンディ・スターさんです!」
会場から拍手と喚声が巻き起こり、観客の視線が集まると、シンディは一歩前に出て、つぶやいた。
「当然のことよね」
そのまま手を上げて喚声に応え、優勝トロフィを受け取り、ティアラとマントを着けられる。
司会者の紹介にもあったとおり、シンディは貿易と商業の国ルークで大人気の女優&アイドルだ。
年齢は17歳。
光り輝くブロンドの髪にブルーの瞳、愛くるしい笑顔──華やかさと可愛らしさを兼ね備えていて、まさに女優やアイドルになるために生まれてきたと言っていい。
そんなシンディのもとに主催者から手紙が届いたのは3ヶ月前のことだった。
『貴女は<反則級の美少女コンテスト>の最終候補者にノミネートされました。
つきましては8月におこなわれます最終選考会に参加いただきたく、ご案内申し上げます』
手紙を読んで、当初、シンディは「最終候補者にノミネートって、偉そうに。何言ってるのよ。あたしが一番に決まってるじゃない 」と無視しようとした。
だが、手紙に書かれていた優勝報酬に心を動かされた。
「賞金100万ルーク!?」
「リゾートで有名な島ルルでの二週間の豪華な生活!?」
シンディはお金が大好きだ。
舞台の仕事は9月からなのでスケジュールは空いているし、台本はリゾートの島ルルで豪華な生活を送りながら覚えればいい。
それに自分が<反則級の美少女コンテスト>に参加していないこと自体がおかしい。
もしキャンセルしたら負けるのがイヤで逃げたと思われるかもしれない。
というわけでシンディは現在、本選会場にいて見事に優勝した。
もっとも、この優勝に至るまでには、屈辱的なことが何度もあったが……。
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