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可哀想……とは少しも思っていないので歩を進めていると一気に足が重たくなる。
まぁ、こうした相手はよく分かっているので振り返ると案の定というべきか、腰抜け小娘が足に引っ付いている。
「お願いしますぅー!!
私のお家で凄い歓迎もしますからどうかお願いしまふぅー!!」
「えぇぃ、鬱陶しい!!
あと鼻水まで垂らしながらしがみつくな!!」
振り解こうと足掻くも流石は樵なのか、あっさりとパワー負けしてしまう。
私が息絶え絶えになると小娘は一息吐き、小休止と言わんばかりの表情になる。
このさも余裕ですという表情にカチンときた私も更に勢い良く足を振り回す。
それでもこんな腰抜け相手に全く勝てず、結局は引き剥がす為に明日の給料日までは待つという事で合意してしまった。
"魔法使いたるもの、割に合った仕事をせよ" ……
この訓戒に習うなら割に合うというのはこの離れない腰抜け小娘を引き剥がす事なのだと切に思う。
流石は無為無能の魔法使い。
引き当てる仕事も最低レベルも良いところではないか。
こうして、仕方なく彼女の家へと招かれてしまったのだが……
狭い……
最初に見た通りで非常に狭く、二人いてちょうどという所か。
それでも外観で一人で住むだけという評価から見れば、予想より広いというべきなのだろうか?
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