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名前の通り、相手に勇気を持たせる魔法。
自信家の集まりの魔法使いたちからすれば、不要であるし何よりも誰も習得できなかったのだ。
習得できなかったやっかみに魔法使いではなく、高等な教育機関への所属を勧められた事もあった。
……やっかみではなく、適切な助言なんだろう。
私がそれをやっかみだと捉えるのは目指すものはあくまでも魔法使いであるからだ。
そうして人の言葉の一つ一つを悪意と捉えていると気付くのも昨日の事。
味方である幼馴染の一言すら悪意のある言葉と受け止めてしまったせいである。
"ちょっと休憩がてらにクエストに出れば?"
人からすれば普通は休めよという助言にしか聞こえない言葉すら、私は曲解に曲解を重ねて何をやっても無駄であるから小銭稼ぎでもしてろ、そう捉えたのだ。
無論、その時の私はここまで落ち着いた訳でもないので彼女に初めて怒鳴り声を吐き出した。
結果的に彼女は一言 "ごめんね" と謝って去っていき、暫くしてから自分の所業を悔やんだものだ。
悔み、初めての一方的な喧嘩にどう顔を合わせればいいのかと迷った結果が……
「こんなところにいる理由、だな……」
私が臆病で逃げ出してきた原因、それを思い出した上で幼馴染の助言通りに此処にいる事も。
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