3人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
仕方なく彼女が作ったであろう切り株に腰を下ろし、腰の回復を待つ事にする。
「あのー……
お客様はどうしてこんな私のところまでわざわざ来てくださったのですか?」
私はあの発注書を彼女に見せ、とりあえずは本人かどうかの確認をとる。
「君がこのクエストを依頼した、という事で間違いないかな?」
「あっ……?」
驚いた様子でクエストを見ているが、これは本人も忘れているようである。
まぁ、実を言うと半年前の期限ギリギリのものだ。
本人が忘れているのも無理もないだろう。
「わ、笑わないんですか……?」
「生憎と笑う気分ではないのでな」
確かに笑い事なのだろうが、本人には真剣な悩みであろうし何よりも私自身が笑える状態にないというのもある。
故にだろうか、彼女はほっと一息吐くと私に少しばかりの信頼を覚えたようだ。
「私の依頼で笑わなかった人、初めてです。
色んな人が遊び半分で来て、からかって帰ってしまうのでお客様なんて来なければいいのにと思ってたところでした……」
「笑う気分じゃないだけだ。
もう少し気乗りすれば笑ってたかもしれないな」
しかし、彼女の腰抜け度は想定よりはずっと上でこのパターンは初めてだ。
最初のコメントを投稿しよう!