3人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
あの怒鳴り声で驚くのは有り得るが、腰を抜かすまでというのは如何なものか。
腰の病気ではないだろうな?
「勇気があれば、その腰が抜けるのも治ると思うか?」
「村の皆はそう言ってます……
勇気がないから、度胸がないからと……」
……さて、言い出し辛い事になったが言わねばならないだろう。
ヘコむかもしれない、とはいえ誤魔化してままでも帰る時に非常に後味が悪い。
「一応、君に勇気を与える術はある」
私がそう言うと彼女は抜けた腰のまま、私の足元まで一気に飛び付いてくる。
樵故なのだろうか、正直にいうと驚くぐらいに俊敏な動きだった。
「ほ、本当でしゅか?
私の腰抜け、治るんですか?」
「落ち着け、条件というか制約まで聞いてから考えろ」
落ち着かせると彼女は居住まいを正し、紫に輝く瞳で "私、期待してます" と訴えてくる。
何というか餌を求める犬を彷彿とさせ、犬のイメージが定着してしまいそうだ。
「……私の魔法は永続ではない。
ついでに言うと、私との距離制限もある」
「……えっと?」
何を言っているのか、という感じに首を傾げられてしまうので理解しやすい言葉を考えるのに逡巡してしまう。
最初のコメントを投稿しよう!