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大分落ち込んでいる様子だけでも支払う物はないのだろうなと察してしまった。
何よりも魔法使いは無償で善良なボランティア集団と思っていたようで彼女の中の魔法使いのイメージが総崩れしたらしい。
口からは呪詛のように "昨日使っちゃった" を連呼してる辺り、同情してしまいそうになるが此方も国から三日ほど歩いてやってきた身なのだ。
魔法使いだって研究費にも旅費にも金は使うのだ。
「はぁ……
君の給料日まであと何日だ」
「明日です!!」
勢い良く手を上げ、此方に突っ込んでくるので手持ちの杖で額を押し返す。
「待つには待てる。
が、追加外泊の代金だって一銭足りとも負けないのは分かっているかな?」
「追加ー……?」
「宿泊費、宿代、泊まり賃。
とりあえず、分かってくれる説明はあったか?」
彼女は "あぁ!!" とポンと手を合わせると同時に衝撃の一言を言い放つ。
「でも、この村にお宿はありませんよ?」
ない?
宿がない村なんて見た事がないんだが、本当にないのか?
「本当に……?」
「はい」
恐るべき辺境の田舎……!!
私が如何に大きい国で生きてきたかを痛感する事は他のクエストでもややあるにはあった。
が、今回は頭に突き刺さる勢いだ。
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