Act.2

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急いでポケットから取り出した携帯の画面を見る。 不在着信。 その文字の下にある名を見て、私は落胆した。 若干、腹立たしさを覚えながらその名をタップする。 「お兄ちゃん、何か用?」 「用がないと電話しちゃいけないのか?」 「別にそういう訳じゃないけど」 「お前さ、俺らがガキの頃のアルバムとか、どこにしまってあるか知ってる?」 「は? 何で?」 「いや、ちょっと必要なんだけど、お袋たちは今日明日老人会の旅行でいないから分からなくてさ」 「確か、お母さんの部屋の押し入れのピンクの衣装ケースの中にまとめてしまってあったと思うけど……」 「サンキュ。探してみるわ。じゃーな」 一方的にそう言って兄は電話を切った。
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