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急いでポケットから取り出した携帯の画面を見る。
不在着信。
その文字の下にある名を見て、私は落胆した。
若干、腹立たしさを覚えながらその名をタップする。
「お兄ちゃん、何か用?」
「用がないと電話しちゃいけないのか?」
「別にそういう訳じゃないけど」
「お前さ、俺らがガキの頃のアルバムとか、どこにしまってあるか知ってる?」
「は? 何で?」
「いや、ちょっと必要なんだけど、お袋たちは今日明日老人会の旅行でいないから分からなくてさ」
「確か、お母さんの部屋の押し入れのピンクの衣装ケースの中にまとめてしまってあったと思うけど……」
「サンキュ。探してみるわ。じゃーな」
一方的にそう言って兄は電話を切った。
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