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だけど昨日、ここで不審者に犯されそうになった話は恭ちゃんには出来ない。
そんなことを話したら、確実に恭ちゃんは被害届を出せと言うだろう。
しかし被害届を出すということは、当然警察に根掘り葉掘り聞かれるだろうし、正直なところあんなことを二度と口にしたくないのも本音だ。
「佳奈」
「うん?」
「俺さ、来年の4月にある県会議員の選挙に出馬することが決まった」
「えっ? そうなの?」
「うん。ついに親父が引退するってさ」
「……そっか……」
「だから来年の2月頃から、かなり忙しくなるからなかなか佳奈に会いに来られなくなると思う」
「……うん」
心のどこかでほんの少しだけ寂しく感じるのは、子供の頃からずっと近くにいた恭ちゃんがいよいよ違う世界に進出してしまうからだと思う。
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