257人が本棚に入れています
本棚に追加
闇の中に消えて行く、恭ちゃんの車のテールランプをぼんやりと眺めながら、大きなため息をつく。
なんだか今日の恭ちゃんは、いつもと違った気がする。
やはり政界へと足を踏み入れる覚悟を決めたからだろうか。
今まで、たとえ一瞬でもあんな風に私を抱きよせるなんて行動はしなかったのに。
急に、恭ちゃんが幼馴染という存在から、男に変化したような気がして思わず首を振る。
「私、どうかしてる」
そう呟いて、駐車場から自分の部屋に向かおうとしたその時だった。
「原沢さん」
「ひぃっ!」
暗闇から聞こえた声に驚いて、全身が跳ね上がったような気がした。
慌てて振り返ると、そこには……市倉さんが立っていた。
最初のコメントを投稿しよう!