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そこに市倉さんの姿を探してみるけれど、やはり彼は見つけられないまま、私は駐車場を出た。
急いで社に戻り、まだ残業していた今井部長に報告を済ませる。
そしてタイムカードを押して、会社から歩いて20分の自宅へと足を進めた。
大吾さんの店に直接向かうことも考えたけれど、昨日市倉さんの連絡先を聞くのを忘れていたし、もし彼が帰宅していたら声を掛けて一緒に木嶋屋へ行こうと考えていたからだ。
ようやく自宅につき玄関に荷物を置いた私は、その足でB棟へと向かった。
203号室の前に行って、大きく深呼吸をする。
市倉さんはもう帰宅しているだろうか。
システムエンジニアは毎日遅くまで残業しているかもしれないけれど、いなかったら郵便受けに私の携番を書いたメモを入れておけばいいだろう。
ドキドキと弾ける胸を押さえながら、ゆっくりとインターホンのボタンを押した。
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