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しかし、やはりまだ彼は帰宅していなかったのだろう。
部屋からは人の気配は感じられず、私は落胆しながらも自分の携番とメッセージアプリのID、連絡が欲しい旨を書いた紙を彼の部屋のドアポケットに差し入れた。
昨日は近道だからと川沿いの土手を通ったけれど、あんな怖い思いをしたし大吾さんの店に向かう道は、車の通りが多い県道にする。
帰宅を急ぐ車が渋滞している脇の歩道をゆっくりと歩きながら空を見上げた。
真夏の夜を彩っていた織姫や彦星をはじめ、天の川の両岸に輝く一等星たちは西の空に沈み、物寂しくなった夜空はすっかり秋の気配に変わっていた。
「はぁ……今年のクリスマスもひとりぼっちで過ごすのかなぁ」
そんな独り言を呟きながら交差点の角を曲がると、先頭で信号待ちしていた車から私を呼ぶ声が聞こえた。
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