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「佳奈」
驚いて車の運転席を見ると、助手席側に身を乗り出している恭ちゃんの姿が目に入る。
「あ……」
「この車、佳奈んちの駐車場に止めて来ていいか?」
「あ、うん」
「サンキュ。じゃ先に大吾の店に行ってて」
「わかった」
頷いた私に、恭ちゃんはやんわりと微笑むと、小さくクラクションを鳴らして交差点を左折して行った。
セミナーの準備で忙しいはずの恭ちゃんが来るとは思っていなかったから、正直なところ驚きが隠せなかった。
まして昨日の今日だし、確実に私は彼にお説教をされるだろう。
もしそこに私の残したメモを見て、市倉さんが現れたりしたら、更にややこしいことになりそうな気がした。
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