Act.4

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あれから恭ちゃんからの連絡は全くない。 私が知らないだけで、選挙に出馬が決まると早い段階から支持票を確保するために忙しくなるのかもしれない。 普通のサラリーマンとは全く違う世界で生きる恭ちゃんと私のような平凡な人間が、何十年も親友関係を続けて来られたのは、やはり恭ちゃんの人格のおかげだったのかな。 そう自分に言い聞かせて、私は久々の料理に気持ちを切り替えた。 何しろここ最近は、大吾さんの店での夕食が当たり前になっていたから、コンロに火をつけるのはコーヒーを飲む時のお湯を沸かす程度だった。 食器類は、さすがにヤバいかと思って昨日全部洗い直しておいたし、鍋もピカピカに磨き上げた。 その場しのぎでしかないかもしれないが、部屋の掃除も念入りにしたし、彼からの連絡を待ちながら料理を作り始める。
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