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しかしようやく野菜を刻み終わった頃、私の携帯が着信を知らせる。
てっきり誉さんかと思った私は「早っ!」と口に出しながら濡れた手をタオルで拭きながら画面を見た。
だけど、そこに表示されていた名前を見て思わず唾を飲む。
恭ちゃんからの着信だったからだ。
どことなく嫌な予感に包まれながらその着信を取る。
「……はい」
「ああ、佳奈。全然連絡出来なくてごめん」
「ううん、忙しかったんでしょう?」
「……ああ、だけどもう大丈夫だから。
今から大吾の店に行こうと思ってるから、待ってて」
やはり思っていた通りの恭ちゃんの言葉で私の胸の鼓動が早くなる。
だけど恭ちゃんという存在は私にとって……変わることなどないと信じているから。
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