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「恭ちゃん、ごめん。今日は行けない」
「え?」
「あのね、私……好きな人が出来たの」
「…………」
「来週の私のバースディパーティに彼も呼ぼうと思ってるの。
彼が来てくれるかは別として、だけど」
「あの別れた男じゃなくて、別の人?」
「うん」
しっかりと頷きながら返事をすると、電話の向こうの恭ちゃんは小さく笑った。
「また騙されんなよ」
「騙されないよ。だって彼は仕事でもお付き合いがある、SAKURAシステム開発のエンジニアだし、初対面で身分証明書まで見せてくれるような人だもん」
そう、誉さんは不審者に怯えていた私を落ち着かせるために、身分証明書を見せながら自分の身元を明かしてくれた律儀な人だ。
だから大丈夫。
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