Act.4

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「そのグラス、いつから冷やしてくれてたの?」 「あ、これは昨夜から……」 そう言いながら、誉さんの横に腰かけてテーブルにグラスを置くと、彼は「そう」と言って私を抱き寄せた。 「じゃあ昨夜からずっと、俺のこと考えてくれてたってこと?」 「……あ……はい」 急激に近くなった誉さんとの距離に、恥ずかしさがこみ上げ俯く。 すると彼は、優しく私の顎を持ち上げる。 「……ありがとう」 「…………」 ゆっくりと近づく彼の瞳で、私は自然と己の瞳を閉じる。 優しく触れるだけのキスが何度か落とされて、私の胸が一気に熱を帯びた。 もっと……もっと私に触れて欲しい。 全身がそう叫んでいるような感覚に包まれた瞬間、彼の掠れた声が聞こえた。
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