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「俺もそう思うな」
「でしょ? やっぱさ、一度そういう甘い汁を吸った人間は必ずまた同じことするのよね」
「だったらもう結論出てるんだし、そんな男辞めておけ。
千波だったらもっと他にいい男を見つけられんだろ」
「……う……うん……」
どこか戸惑い気味にそう頷いた千波は、普段とは微かに違う瞳で大吾さんを見つめる。
しかし大吾さんはそんな千波の様子に反応を示すことなく、店の奥に消えた。
二人の間に流れた空気にどことなく違和感を覚えた私は千波に小声で問いかける。
「ねぇ、千波」
「うん?」
「大吾さんと何かあった?」
しかし次の瞬間、その問いかけがまるで堰を切ってしまったかのように千波は私に縋るような瞳を向けた。
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