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「まさか、もう付き合ってんの?」
「……えーっと……そう……」
そこまで答えてまた言葉が詰まった。
確かに誉さんは私を欲しているし守ると言ってくれたけれど、まだ肝心な言葉を貰っていなかったことに今更気づいたからだ。
私たちの間に確かにあるものは、次に会う時に一緒に飲もうと約束したあの缶ビールだけ。
その時、ずっと寡黙だった大吾さんが口を開く。
「佳奈ちゃん、その男、本当に大丈夫なのか?」
「えっ?」
「だってあの土手は元々人通りが少ない場所だし、まぁ確かに駅方向から橋を渡って来たのなら土手を通れば近道だけど、そんなタイミング良く通るものか?」
「…………」
「なんか胡散臭い気がするのは俺だけかな?」
そう言いながら大吾さんは、千波に同意を求めるかのように視線を向ける。
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