Act.6

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誉さんにとって、楓さんの存在が絶対的であることを確信しつつ小杉さんと共にエレベーターに乗りこもうとした時だった。 ポケットに入れてあった私の携帯がバイブする。 エレベーターのドアが閉じ、小杉さんの後ろに立ちながらそっとポケットから携帯を引き抜いて画面を見る。 するとそこには誉さんからのメッセージが表示されていた。 『終わったら連絡して。エントランスで待ち合わせよう』 彼からの返信の文字を見ただけで、心が弾む。 たとえ彼の心の中に楓さんがいようとも、私はやっぱり誉さんが好きでその気持ちを押し殺すことなど不可能だった。 この恋が危険であっても、傷つくかもしれないと感じていても。 思いを止める方法なんて私は知らない。
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