Act.6

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「ふふふ。彼氏から?」 エレベーターのドアが開くのと同時に小杉さんに言われ、私は慌てて携帯をポケットに戻す。 「いえ、あの……すみません」 「いいのよー。原沢さんすっごい嬉しそうな顔してたし、バレバレ」 「…………」 そんなあからさまに顔に出していたのだろうかと反省しながら小杉さんの後をついて行く。 先日の打ち合わせの時とは違うフロアを進みながら、パソコンと向き合っている社員たちに目を向ける。 「今日はシステム5課で受け渡しするからね」 「はい」 小杉さんから掛けられた言葉で、このフロアがシステム開発部のフロアであることを悟った。 必然的に私の視線は、黙々と仕事をこなしているエンジニアたちの中に、彼の背中を探し始める。
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