Act.6

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けれどなかなか彼の姿は見つけられないまま、システム5課の表示板が見えて来て、諦めかけた時だった。 オフィスの奥にガラスで仕切られた空間があり、そこに5~6人の男女の姿が見える。 あまりシステム開発には詳しくない私でも分かった。 そのガラス張りの空間は、限られた人しか入れない特別な場所であるということ。 SAKURAシステム開発の心臓部と言っても過言ではないような、独特な雰囲気が漂っていること。 そして…… その中に、探していた彼の姿があったことも。 「……小杉さん」 「うん?」 「あのガラス張りの空間って……」 「やっぱ気になるよね。あそこが我が社の中枢みたいなものよ。 いわゆる精鋭部隊みたいな部署ね」 「…………」 思わず足を止め、私はガラスの向こうにある彼の背中を見つめた。
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