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すると小杉さんも足をとめ、その空間をぼんやりと眺めながら呟いた。
「うちの会社のエンジニアたちは、皆あの空間に入りたくて必死なのよ。エンジニアたちの間ではあの空間を神殿なんて呼んでるわ。
給料のケタも違うしね」
「……そうなんですか?」
「仕事は確かに凄く優秀よ。それは認めるけど、アイツら感情とか全くなさそうで私は嫌いだな」
「…………」
「さ、原沢さん行こう」
「……はい」
小杉さんに促されて再び歩き出す。
こんなに近くにいるのに、こちらに振り返ることもない彼の背中に虚しさを感じた。
同じ空間にいるようで、やはり誉さんと私は別世界の人間なのかもしれない。
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