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そしてゆっくりと振り返る誉さんの様子を私はぼんやりと眺めることしか出来なかった。
「どちらに行かれるんですか?」
「見て分からない? 昼飯だけど」
「それは分かりますが、せめて一言くらい言ってから出てください」
「……ガキじゃあるまいし」
「ご自分の立場を分かってらっしゃいますよね?」
喧嘩腰に誉さんに言葉をぶつけるのは、彼の部下なのだろうか。
あのガラス神殿の中で誉さんの横に立っていたパンツスーツの女性だ。
怒りを剥き出しの瞳で誉さんを睨んでいた女性の視線が私へと移動する。
そして彼女が私に何かを言おうとした瞬間、誉さんはそれを阻止するように言葉を放った。
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