Act.6

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「心配しなくても食事を済ませたらすぐに戻る。 斉木(さいき)さんも昼飯くらい食べておいた方がいいよ」 「室長、だけど……」 「さすがに今日は遅くまで仕事になるぞ」 「…………」 何か物言いたげな表情のまま、誉さんを見つめる彼女。 しかし誉さんは表情を全く変えないまま斉木さんに背中を向けると、私の手を引いた。 「佳奈ちゃん、行こうか」 「……いいんですか?」 「問題ない」 そう答えた誉さんの横顔と、そっと振り返って見た斉木さんの表情の温度差を感じて私は戸惑いが隠せなかった。 同じ女だから、嫌でも分かる。 彼女はきっと誉さんを……。
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