Act.6

20/32
前へ
/32ページ
次へ
だけど仕事も出来て優秀で、なおかつこんなにも素敵な誉さんだ。 きっとこの会社の中で誉さんに憧れる女性は数えきれないほど、いるに違いない。 そのうえ小杉さんが言っていたように高収入だ。 誉さんが県会議員の先生と同じ高級車に乗っていたのも納得できる。 こんな条件を兼ね備えた男性が……本当に私のような平凡な女に? 何も取り柄もない……こんな私で本当にいいのだろうかという疑問が湧きあがる。 頭の中では彼を信じたい思いが何よりも強いのに。 どうしても消せない不安が燻っていて、私は繋がれた手に力を込める。 するとそんな私の行動に、彼の手は応えるように力強く握り返してくれた。 その温かさに縋りたい気持ちがこみ上げる。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

179人が本棚に入れています
本棚に追加