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少し先にあるSAKURAシステムのエントランスから現れた人と視線が交わる。
「なんだ佳奈、そこにいたのか」
電話から聴こえる恭ちゃんの声と、正面に見えた姿がまるで異世界のように感じながら私は誉さんの影に隠れようとした。
その様子を見た恭ちゃんの足がそこで止まり、電話を通して聞かれる。
「って言うか佳奈、一緒にいる人、誰?」
「……あ、あのね、……えっと……」
戸惑いながら誉さんを見る。
けれど私はそのまま言葉を失ってしまった。
何故なら、横に立っている誉さんの表情からは……
……何の感情も感じることが出来なかったからだ。
氷のように冷たいとか、そんな次元のものではない。
まるで無と言ってもいいほど、彼の瞳から色が消えていた。
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