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「県会議員の我妻荘介氏の嫡男(ちゃくなん)、当選確実の支持率を維持したまま、父親の後継者として次期選挙に出馬が決定、ですよね」
「…………」
「我妻恭太さん。
あなたを知らない人間は、この会社にはいませんよ。
SAKURAシステム開発が急成長したのは、あなたの父親の支援があったからこそですからね」
「……ふっ」
誉さんの挑発的とも取れる言葉に対し、小さく笑った恭ちゃんの瞳は今まで私が見て来た恭ちゃんとはどこか違って見えた。
いや、私はこれと同じ目を何度も見たことがある。
我妻荘介、恭ちゃんの父親と同じ目だ。
正直な気持ち、私は恭ちゃんのお父さんはあまり好きじゃない。
どこか威圧的で、人を見下すようなところがあって、子供の頃から私の中では苦手なおじさんだった。
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