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「ああちょうど良かった! 室長、問題発生です!
すぐ戻ってください」
その声に一斉に私たちの視線が移動して、そこにいた斉木さんは驚いたようにこちらを見ている。
「佳奈ちゃんごめん。俺、戻らないと」
「あ、はい」
「じゃ、誕生日にね」
「はい!」
「では、我妻さん、また」
「…………」
無言で自分の横をすり抜けて行く誉さんを見送った恭ちゃんの背後では、斉木さんがどこか切ない表情で歩み寄る誉さんを待っている。
そして斉木さんの横を通過しながら、誉さんは彼女の肩をポンと叩いてエントランスへと姿を消した。
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