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しばらく誉さんと斉木さんの動きを背中で探っていた恭ちゃんの瞳が真っ直ぐに私を捕えると、ゆっくり詰め寄って来る。
そして私の正面に立つと、氷のように冷たい瞳のまま呟いた。
「佳奈、アイツとはもう寝たの?」
「……え?」
「まだ寝てないんだったら、深入りしない方がいい」
「…………」
「あまり余計なことは言いたくないし、佳奈が誰を選ぼうと勝手だとずっと思って来た。だけど市倉は辞めろ」
「……どうして?」
「どうしても、だ!」
苛立ちを隠せなかったのか、恭ちゃんは初めて私に声を荒げた。
けれどそれは私の中で、誉さんへの不信感ではなく恭ちゃんへの不信感を芽生えさせた瞬間だった。
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