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「……何を隠してるの?」
「何も隠してなんかいねーよ。だけどアイツはダメだ」
「じゃあ、どうしてそんな事を言うの?」
「いつも言ってるだろ! 佳奈は男を見る目がないんだよ。
だから毎回騙されて浮気されて、傷ついてるじゃないか」
「それは否定しない。
だけど恭ちゃんも誉さんのことを何も知らないのなら、どうしてダメだって決めつけるの?!」
感情が抑えられなくなって、私も声を荒げて恭ちゃんに詰め寄った瞬間だった。
「佳奈!」
大きな声で私の名を呼んだ恭ちゃんに腕を掴まれる。
そして唇が触れる寸前まで、恭ちゃんの顔が近づいた。
突然目の前に迫った恭ちゃんの瞳に驚いて言葉を失う。
すると、その距離を保ったまま恭ちゃんは呟いた。
「どんな手を使っても……俺は佳奈とアイツを引き離す」
「…………」
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