Act.6

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あまりにもガッカリとした表情の小杉さんに、申し訳なくなって私は頭を下げる。 「……すみません、今井部長はどうしても手が外せなくて……」 「いえいえ、いいのよ。原沢さんもお忙しいのにごめんなさいね」 笑顔でそう答えながらも、小杉さんはやっぱり捨てられた子犬のように見えて、私もこんな風に顔に出てしまっているのかなと改めて思う。 「今回のシステム、かなりいい感じに仕上がったわよ」 「そうですか、それは良かった」 「実はね、ここだけの話だけどうちの技術力が認められてね。 県警のサイバー犯罪対策室に全面協力することになったの」 「え? すごいですね!」 「でしょ? 今ね、デジタル・フォレンジックの技術を学びに警官が来てるの」 「デジタル・フォレンジック?」 思わず問いかけると、小杉さんは自慢げに言った。
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