161人が本棚に入れています
本棚に追加
この雑木林がなかったら、結構な高台だし景色も良さそうなのにと思いながら恭ちゃんの様子を伺う。
すると彼はコーヒーメーカーからポトポトと落ち始めた滴をじっと見つめたまま立っている。
音のないこの状況に耐え切れなくなりそうで、私はおもむろに恭ちゃんに尋ねた。
「ねぇ恭ちゃん、私に話って……?」
「まぁとりあえずコーヒー飲んでからな。
俺も昨夜から全く眠ってないし、少し頭をスッキリさせたいし」
言われたことは最もな言葉で、急かそうとした自分が申し訳なくなる。
「……ごめん。恭ちゃんも火傷したんだよね。
あ、コーヒー私が淹れようか?」
「いや、いいから佳奈は座ってて」
「……でも……」
「俺の火傷は大した怪我じゃないし。病院が大げさに包帯巻いただけだから大丈夫」
最初のコメントを投稿しよう!