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「ホントだ。このコーヒー美味しいね。どこで買って来たの?」
けれどその問いかけとは全くかけ離れた言葉が恭ちゃんの口から放たれる。
「昨夜、アイツと一緒にいたよね」
ドクンと音が聞こえてしまうのではないかと思うほど、胸が鳴った。
「あれほど市倉誉は辞めておけと言ったのに」
「……どうして?」
だって彼と私は、家にいただけで外に出た訳ではない。
だから恭ちゃんが私たちが一緒にいたことを知るはずなどないのだ。
「どうして恭ちゃんがそれを知ってるの?」
手に持っていたカップの中で、コーヒーがいくつもの波紋を作り始めたのは、抑えきれなくなった怒りが形を成したからだ。
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