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大吾さんが運ばれた病院は、この街で一番大きな国立病院だった。
駐車場に着いてから、仕事に遅れることを今井部長に連絡し、私は正面玄関横のベンチで千波が到着するのを待つ。
この状況を誉さんに報告しようと思いバッグから携帯を取り出し画面をタップする。
『木嶋屋が火事になって大吾さんが火傷したらしくて』
しかしその文字の続きを打ち込もうとした時だった。
「佳奈」
聞こえた声に顔をあげる。
しかしそこに立っていたのは、千波ではなかった。
「……あ」
驚きつつ立ち上がり、打ちかけだったメッセージアプリを閉じる。
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