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「千波ちゃん、大吾は大丈夫だから。
うん。午後の面会時間になったらアイツの好きなイチゴでも買って見舞いに行ってやって」
普段の大吾さんとはかけ離れた『イチゴ』というキーワードに千波が笑う声が微かに聞こえた。
その様子でなんだか私も安堵して、少し緊張していた気持ちがほぐれた。
「うん、じゃあまた連絡するから」
そう千波に言った恭ちゃんは、そのまま通話終了のボタンを押してしまった。
「……あ……ごめん、切っちゃった」
まぁ私はこの後に仕事もあるし、大吾さんに会いに来られるのは夕方になってしまうから、千波とは一緒に来られない。
特に約束することもないし「いいよ」と言いながら携帯を受け取ろうと手を差し出した。
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