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しかし、返って来ると思っていた携帯は恭ちゃんの手によって拘束されたままだった。
「恭ちゃん?」
どうしたのだろうと思いながら首を傾げると、恭ちゃんは無表情のまま私に問いかける。
「ねぇ佳奈、ちょっと時間貰ってもいい?」
「え? だけど私これから仕事……」
「今井部長には俺が連絡するから大丈夫。少し佳奈と二人だけで話したい」
「……でも……」
「とりあえず俺の車、A区画の一番手前に止まってるから先に乗ってて。
病院で佳奈を捕獲したから、少し借りるって今井部長に電話したらすぐ行く」
そう言ってやんわりと微笑んだ恭ちゃんは、携帯ではなく彼の車の鍵を私に手渡した。
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