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A区画に向かうと、言われた通り一番手前に恭ちゃんの車が止めてあった。
この病院は市内で一番大きいこともあり、完全予約制であるにも関わらず外来に訪れる患者たちの朝は早い。
すぐに満車になるような駐車場で正面玄関にほど近い場所に車を止めることが出来たのは、深夜に緊急搬送される大吾さんを追って来たからだろう。
恭ちゃんの火傷は包帯の巻かれた部分も少なかったし、あまり酷いものではなかったかもしれない。
けれど朝になるまで恭ちゃんは大吾さんの傍にいた。
それは二人が、かけがえのない親友であることの証なんだと思う。
それにしても恭ちゃんが私に話したいこととは何なのだろう。
今井部長との電話を終えた彼が、こちらに向かって来る姿を、助手席からぼんやりと眺めつつ、心の片隅にある疑問を確かめたいという思いに駆られる。
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