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俺の車を見て興奮気味の彼女に苦笑い。
その気もないくせにドライブなんて言葉で誤魔化し、俺は彼女と共に定食屋へ向かって歩き出す。
ミニサイズの彼女は必然的に歩幅も狭く、俺は彼女が歩くスピードに合わせて歩幅を緩めた。
すると彼女は歩きながら問いかけて来る。
「市倉さんって、おいくつなんですか?」
「34歳」
「えっ?」
驚いた顔で俺を見つめる瞳に、自虐的な言葉を吐く。
「意外とおっさんでしょ」
「いえ、そうじゃなくて。私の兄も34歳だから」
日頃から実年齢より若く見られることが多かった俺は、彼女が驚いたのはそっちだったのかと思いながら白々しい嘘を並べる
「へぇ、お兄さんがいるんだ」
彼女の兄、原沢健斗とは深い付き合いではないにしろ、今でも友人として繋がっている。
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