Act.13 Side H

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烏川の土手で不審者に襲われた直後の原沢佳奈の目は、あの時と同じだった。 だから俺は感じたのかもしれない。 この瞳に、こんな形で再会することになるなんて思いもしなかった、と。 こみ上げる彼女への思いが入り乱れて、俺の瞳が揺れてしまう。 そんな様子を見つめていた城田さんが静かに言った。 「木嶋大吾はな、木嶋屋のオヤジとおかみさんの本当の息子じゃないそうだ」 「……え?」 「木嶋を産んだのは、おかみさんの妹で、木嶋が3歳の時に養子縁組したそうだ」 「……何故?」 「木嶋大吾の産みの親は、自殺してる」 「…………」 「それも、篠崎楓が自殺したのと同じ場所でな」
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