Act.14 Side H

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城田さんのスマホがけたたましく鳴り出す。 慌ててポケットから取り出した城田さんがスマホを耳にあてると、やがて神妙な面持ちで「はい、分かりました」と答えた。 通話を切った城田さんが呟く。 「小野村真理子が公職法違反容疑で逮捕だ」 「……そうですか」 「それと、CCD-TRV30のサンプルモニターの中に小野村真理子の名前があったぞ」 「…………」 「それにもう一人」 「……もう一人?」 問いかけた俺に、城田さんは満足そうに笑うと対策室のドアを開けながら言った。 「誉が一番怪しいと思っているであろう人物の名前もな」 これで俺の中で組み立てていた全てのパズルが出来上がった。 そしてその解答は今読み込んでいるハードディスクの中に全て揃っているはずだ。 22年間、明かされることのなかった真実へと突き進む俺は、まだ気づけていなかった。 彼女が今、どんな状況にあるのかということを……。
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