Act.14 Side H

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しかし俺の思惑と彼女の思惑は大きく食い違っていることが浮き彫りとなったのは、彼女が帰り際の俺に放った一言だった。 誕生日のプレゼントは何が欲しいのかを尋ねた俺に、彼女はゆらゆらと瞳を揺らしながら答える。 「……真実が知りたいです」 「…………」 「私は……何を聞いても誉さんへの気持ちは変わりません。 だからあなたに抱いて欲しかった」 「…………」 「肌を重ねることで、私の思いはまがいものではないと……誉さんに信じて欲しかった」 「…………」 もはや俺には、何も答えることは出来なかった。 もしかしたら彼女は何も言わずとも、そして我妻から何も聞かずとも…… 全てを理解しているのかもしれない。
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