Act.14 Side H

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それを裏付けるように彼女は、自分の手首をさすりながら呟く。 「あの土手で……誉さんと出会ったあの日……」 そこまで言った彼女は、まっすぐに俺を見つめる。 その言葉の続きは、俺が仕組んだとでも言うのか。 それとも……。 しかし彼女の言葉の続きを、まるで阻止するかのようにポケットでスマホが振動を始める。 時間的に考えても、おそらく電話の相手は城田さんか斉木さんのどちらかだろう。 彼女の前でその電話を取ることなど出来ない。 だから俺は冷たく彼女を突き放すしかなかった。 「タイムリミットだ」 「…………」 「その続きは、君の誕生日に」 「…………」 彼女の表情は、俺のタイムリミットという言葉を境に変わる。 あの日の楓と同じように…… 『誉くんは、絶対に本音を話してくれないんだね』 今にもそう言い出しそうな表情の彼女の言葉を阻止するように、俺は言葉を続けた。
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