Act.14 Side H

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「申し訳ないけど、最悪な誕生日にしてしまうかもしれない」 「…………」 「その答えを全て知っても……」 「……全て知っても?」 君は今と同じ笑顔を俺に向けてくれるのだろうか。 好きだと言ってくれるのだろうか。 心でそんな言葉を呟きながら、俺は小さく笑って首を振った。 「いや、何でもない。じゃあ佳奈ちゃん、またね」 彼女の部屋に本当の思いを置き去りにして、俺は玄関のドアを閉じる。 カチャと小さく音を立て、彼女と俺の間に出来た境界線。 もしかしたら……彼女と交じり合えたのは、これが最初で最後だったかもしれない。 そんな予感に包まれながら、手の中で振動し続けるスマホの画面を見る。
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